毛髪の俗説を信じるとこんなに危ない

shiraga

柿添病院副院長柿添氏は、胃ガンとハゲの関係を、ホルモンに結びつけて推測するが、無視できない調査結果である。

毛髪の俗説を信じるとこんなに危ないとある育毛剤のコマーシャルに、「抜けてみて初めてわかる、髪は長~い友達」というコピーがあった。

「髪」という文字そのものを分解してみせながら解説するというなかなかに説得力のある手法だったが、たしかに毛髪というのは、人間生ある限り、いつも身近にあって、その人の個性をも形成する重要なファクターのはずである。

ところが、あまりに身近にいるためか、若い時代の一時期を除いて、ついつい軽視してしまいがちなのも事実。

たとえばこんなことがあった。

大阪在住の某青年社長。34歳。

34歳という年齢で、一国一城の主になったことからも想像できるように、彼は、野望に燃えたなかなかにエネルギッシュな壮年である。

あるときから急に、後頭部に、正確にいうと後頭の一部に抜け毛が目だちはじめた。

その脱毛部を発見した会社の社員が、2枚の鏡を合成して見せながら次のようにアドバイスした。

「社長、このハゲは私も経験があるのですが、なんでも円形脱毛症とかいって、ストレスが原因で起きるものらしいですよ。なあに、心配はいりません。私の使ってる育毛剤を紹介しますから、それを塗っていれば大丈夫。医者にいわせると、円形脱毛症なんてのは放っておいても治るってことです。」

仕事が超ハードなこともあって、その社員のアドバイスどおり、そのハゲたところに育毛剤を塗布する程度で放っておいたらしい。

ところがそれが良くなかった。

「そのうち治る」、自分の長~いつき合いの髪の毛を信用したのではなく、過信してしまったのである。

治癒するどころか、だんだんエスカレートするそのハゲを見かねた妻のアドバイスもあって、大阪にある、私の知り合いの皮膚科の門をくぐった。これは「瘢痕性脱毛症」と診断され、かなり手遅れで、一部はもう毛が生えないといわれた。

円形脱毛症の中には、たしかに放っておいても自然になおる良性のものもある。しかしこの社長のように、一見、円形脱毛症に見えても、処置を一歩あやまるととり返しのつかない種類のハゲがあるのも事実なのだ。

聞いてみると、仕事がらこの社長は、イライラ、そして不眠に悩まされることも多く、頭皮がかゆくなるという状態に追いこまれることもたびたびだったらしい。

かゆみを覚えると爪でガリガリとかきむしるようにかく。痛みが先行して、つらいかゆみは薄れたように錯覚し放置しておく。

そんなことをくり返しているうちに、そのかき傷のあちこちから菌が侵入して化膿し、病巣は皮下にまで及び(多発性膿瘍)、毛を育てる毛乳頭が破壊された。毛乳頭が破壊されてしまえば、当然ハゲる。

そんなところに育毛剤をかけてもムダ。どんな上質の育毛剤であっても、破壊されてしまった毛乳頭には効力を発揮できないのである。

したがって、その社長の後頭部のハゲに、毛はもう永久に戻ってくることはない。

その医師のススメもあって、彼は今、部分カツラを使用している。

以上説明した症例でおわかりのように、ハゲに関してこわいのは、素人によるアドバイスである。

不自然な脱毛を発見したら、何はともあれ専門医を訪れ、適切な指示を仰ぐことが、何より大切である。

(続く)

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