インチキ療法

shiraga

ハゲに関してもうひとつ注意しなくてはならないのは、いわゆるインチキ療法。

ハゲに悩む人にとっては、もし毛が生えるのであれば、それこそ千里の道もいとわないというのが、共通の心理である。

私達がこのたび開発にかかわった「PDG(ペンタデカン酸グリセリド)」が新聞や週刊誌、テレビに発表されたときの反響の大きさは、それこそ当の私自身がビックリした程だ。

日本全国津々浦々というのはもちろんのこと、海を越えて海外からも、いくつもの手紙が届き、数えきれないほど電話がかかってきたのは事実。その多くが、「1日でも早く!」「必要があればすっ飛んで行く!」そして、「お金はいくらかかっても構わない!」。

大学の教室内が、ちょっとしたパニック状態に陥ったというのは本当である。

さて、そのようなハゲの悩みを抱える患者の心理をついて、ひと儲けたくらむ輩がいる。

いわく「〇〇を飲んだら、アッという間に毛が生えた」「ツルツル頭がフサフサになった!」。そんなセンセーショナルな宣伝文句を目にすれば、「自分も治療してみようか」と、試してみたくなるのが心情である。その結果、非近代的な療法で高い金を支払わされ、何の効果もなし。

最近は、その種の商売が、けっこう繁盛していると聞く。

少しくらい薬をつけたり、服用したところで、毛は急に生えてくるものではない。「アッという間に毛が生える」などということは、毛周期と照らし合わせても、考えられることではない。

毛の構造や、毛周期のメカニズムを理解していれば、そんなことはありえないはずだ。

警告の意味でも、インチキ商法にだまされた、ある被害者の実例を示しておこう。

<A氏・32歳・会社員>

「うす毛に悩んでいたので、新聞広告をみて〇〇を訪れ相談する。宣伝のように、毛髪相談はたしかに無料であったが、数日後、あなたの毛根検査ができたからとりに来なさいとの通知で行くと、顕微鏡をのぞかされた。変な形をした毛根が見える。この検査料金3万円也を請求される。高いと思いながら支払った。続いてこれは悪質な脱毛根だ。早く手当をしないとたいへんなことになる、と驚かされ、治療をたのむ。その料金1ヵ月分6万円。6ヵ月分36万円を支払った。しかし効果はなかった。」

と話を聞いたが、「それで泣き寝入りだったのか。」との問いに、

「あなたは特異体質だったから効かなかった。もう1ヵ月間無料奉仕してあげようというので続けたが、やっぱりダメでした。」

おかしい。毛根の顕微鏡検査は、私どもなら本人の目の前で5分間以内で終るものを、数日間も待たせるとは。

「そのとき、あなたが見せられた顕微鏡下の毛は、確かにあなたの毛に違いなかったのか?」と尋ねたところ、その人はハっと気付いたらしく、強く首を横に振った。

巷間伝承とインチキ商法はうのみにしないで、おかしいと感じたら、すぐに専門医を訪れる。このことをくり返し強調しておく。

専門の皮膚科医にくわしく経過を告げて相談し、一般の臨床検査、毛根の顕微鏡検査などを受け、まず原因を確かめることが先決なのである。

(続く)

管理人

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